2014年度 理事長所信

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2014年度理事長 岩澤邦寿


 2011年3月11日、発災した東日本大震災は単なる災害ではなく、社会情勢の不安に追い打ちをかけ、国難ともいえる状況へこの国を追い込みました。そんな危機的状況の中でも、多くの方々の献身的な努力によって、少しずつ復興の兆しは見えてきました。しかし、福島第一原発の事故において、廃炉問題や放射能汚染問題に莫大な費用と労力を必要とし、依然として終着点は見えていません。この事故により原子力発電所の安全基準が見直され、地球環境に大きな負荷を与える化石燃料による火力エネルギーに頼らざるをえなくなりました。しかし、先進国の中でエネルギー自給率が最低水準で、エネルギー原料のほとんどを海外から輸入しているのがこの国の現状です。そこで、すぐにでも取り組むべき課題として、安全と安定を最優先にし、環境に配慮したエネルギー変革が必要ではないでしょうか。

また、福島原発の事故の影響により、福島県内の農家約10万戸の多くが現在も営農を再開できない状況にあります。さらに、福島が生産地という理由で返品や価格下落による風評被害が今も続いており、農家の人々にとっては深刻な問題となっています。同じ食生産品の観点から見ると、我が国は食糧の60%を海外からの輸入に頼らざるを得ないのが現状であり、これも世界の主要先進国の中で最低水準です。食を守ることは命を守ることです。そこで、いま一度食について考えてみる必要があります。日本には先人達が大切に守ってきた美しい緑、清らかな水、自然に恵まれた大地があります。人と自然はバランスを保ちながら共存共栄し、「和」の精神を育み、日本独自の食生活や他の文化へと根付きました。しかし、現代には「和」の精神を覆すような環境、資源などの問題が多くあります。我々は市民意識変革運動を通じて、『共生と調和』のとれた社会づくりを目指し、次世代の子ども達が平和な暮らしを送れるよう、果敢に取り組んでまいります。

【 誇れる仲間と誇れる行動を 】
1951年10月20日、25名の青年が川崎市の経済復興、日本経済の再建と世界平和の実現を想い、全国で22番目の青年会議所を設立しました。それから62年間、我々の先輩達は弛まぬ努力を惜しまず、青年会議所運動を展開してこられました。その諸先輩方から脈々と受け継がれてきた誇り高き志を胸に、今この時を担う我々メンバーが愛する家族、川崎のまち、日本の国を思い、英知と勇気と情熱を持って、果敢に市民意識変革運動を奮い起こします。この一年は挑戦のために与えられたものであり、誇れる仲間と共に議論を交わし、率先して主体的に運動を展開し続ける事を行動指針とします。
川崎青年会議所は2008年度の総会決議により、新たなる法人格を取得する道を選び、動き出しました。地域に根ざしたより公益性の高い事業を推進し、市民意識を変え、まちを動かすことで、志を同じくする者が集まり、より確固たる友情が芽生えることでしょう。メンバーそれぞれが自分の行動に誇りを持ち、互いに尊重し高め合い、活動し続けていくことは、仲間との『共生と調和』に繋がっていくのです。

【 川崎の発展と共に、これからを見据えて 】
我がまち川崎は、日本有数の産業都市として発展を遂げ、長年にわたり日本の中核として産業をリードしてきました。反面、公害のまち川崎とも言われてきましたが、行政や企業等まちを上げて公害を克服してきました。さらに、魅力あるまちづくりを推進したことにより、若い世代を中心に人口増加の一途をたどり、2009年には140万人を越え、政令指定都市で最も人口増加率が高くなりました。
メガソーラーやバイオマス発電等最先端技術が集積される地域でありながら、一方では、火力発電所も有する地域であるため、我々が多様化するエネルギーの認識を高め、次世代のための環境に配慮したエネルギー変革を推進する必要があります。そのためには、地域と連携して効果的な運動を図るべきと考えます。
また、川崎のまちを食糧問題の観点から見みると、食糧自給率は低く、全国の代表的な都市と比べても低水準であります。このままだと世界の食糧需給問題が悪化したとき、我々の食卓への安定した食料供給に支障が出ることは目に見えております。我々が先ず行動できる事とは、地産地消の提唱、食糧自給率の向上や、食べ残しなどによる食品廃棄を抑制し、自然の恵みを無駄なく循環させることではないでしょうか。
我々が行動を興し、市民を巻き込み、我がまち川崎を変える事で、地域の特性や自然との『共生と調和』が息づくまちづくりができるのです。

【 和の精神を取り戻そう 】
現代の日本社会は周りに物や情報が溢れ、何不自由なく暮らすことができますが、果たしてこの生活は真なる豊かさと言えるのでしょうか。物質的な豊かさを求める中で失われつつある素晴らしい四季折々の風情、習慣、文化があります。我々も、先輩達より伝統や品格を代々継承して現在に至ります。これからも次世代の子ども達に日本文化の素晴らしさを伝えるため、青少年健全育成に取り組んでまいります。
我々は子を持つ世代として、子供に対して「大人の背中」を見せられるようでなければなりません。しかし、近年社会問題化しているモンスターペアレント、無責任な育児放棄や虐待が後を絶ちません。人と人との触れ合いや、地域との関わりが希薄となり、子ども達が社会性や自立心を身につけにくい環境にあります。そこで我々は教養ある社会人として心身ともに豊かに生きていくための道徳心、克己心を養うこと、延いては礼儀作法を尊び、学び続けることが必要です。同時に、子ども達の健康な体、相手を思いやる道徳心、礼に始まり礼に終わる克己心を養う場をつくるよう力を注ぎます。心の豊かさを持ち合わせた大人たちに囲まれて学ぶことで『共生と調和』のとれた子ども達を育むことができると考えます。

【 市民意識改革そして会員拡大へ 】
我々は明るい豊かなまちづくりを目指しています。我々が川崎のまちを良くしようと思うのは無論のこと、市民と同じ志を分かち合えばどれだけの可能性が高まるのか、それは国をも動かす原動力となるはずです。市民意識改革は、明るい豊かなまちづくりを実現する上で、我々が最優先に取り組まなければならない課題の一つです。先ずは、地域のオピニオンリーダーとしての気概を胸に、率先して行動をおこし、地域コミュニティーを活性化させなければなりません。そのためには多彩な人材が必要です。志を同じくする仲間が増えることは、青年会議所運動を展開する上で大きな力となります。新しい活力を滾々と涌き続けさせるために会員拡大に精一杯努め、地域一体となった『共生と調和』の取れたコミュニティーの創造を目指します。

【 みんなで挑戦、愛する地域のため 】
我々は様々な活動をする中でリーダーシップや組織のあり方について学ぶ機会がありますが、入会が浅いメンバーが多い昨今、それが薄れていると感じます。そこで原点に立ち返り、人づくりについて考える必要があります。方針や規則の在り方がその組織の姿勢を表します。毅然とした活動を行うために、JCの理念を会員と共に改めて基本から学び、今後の活動や組織づくりの糧としてまいります。
我々の組織の中において、委員会は、青年会議所運動の根幹であり原動力であります。委員会は青年の集合体であり、青年の心には夢が燃えております。夢を輝きの場へと導くために、内向的な委員会ではなく、ありったけの情熱を込めて果敢に挑戦し、個々の可能性を最大限に発揮するための活動の場とします。それは個々と組織との『共生と調和』に繋がるのです。

【 おわりに 】
私はまちづくりについて真剣に考え、愛する家族や川崎のまち、延いては日本の国のために、明るい豊かなまちづくりの実現に向けて挑戦します。そのために、最大の壁である自分に打ち勝つ覚悟を持って一年を邁進します。一意専心JAYCEEの一員としての誇りを胸に率先して行動することをここにお誓い申し上げます。
関係各位ならびに先輩諸兄の皆様のご指導ご鞭撻を賜ります様、川崎青年会議所現役メンバーを代表してお願い申し上げ、理事長所信といたします。

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