2015年度 理事長所信

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2015年度理事長予定者 羽山友章


戦後日本の再建から 70 年を経た今、我が国はアベノミクスという成長戦略により物価は緩やかに上昇し、2020 年のオリンピック東京開催に向け、日本経済の回復のシナリオは描かれ始めました。未来への明るい兆しが見えようとする中、地域や所得格差、また社会保障などの社会の構造上に起因する問題は未だ解決の糸口さえも見えない状況に思えます。2011 年の東日本大震災時に国民が心を一つにして復興に向かった利他の精神や、災害時に見せた日本人の和を重んじる姿が世界から称賛を受けた事実があります。しかし、その崇高な日本人の精神を忘れたかのように、自らの利益しか顧みない商品の偽装や、陰惨な親子間での事件の様な道徳観の欠如による問題など、様々な社会の歪が顕在化しています。現在の日本が抱えるこれらの問題を解決に導くのは一体誰なのでしょうか。その答えは国民主権の我が国において、国民の主体性であると言えます。しかしながら、この社会が国民一人ひとりから成り立っているという「公」の意識を忘れ、誰かがやってくれるという他力本願な考えで主体性を失ってしまっては何も解決することなどできないのです。
 市民の主体性という点から我がまち川崎を見ますと、川崎に移り住んだおよそ 7 割を占める新しい市民が地域とのつながりを持てない、もしくは持ちにくい状況にあり、住民同士の関係性は薄れてきています。そして、2013 年に行われました市長選挙の投票率は 30%台という大変低いもので、成熟してしまった大都市であるからこそ行政への期待を持たない市民のまちへの関心の低さを捉えることができます。住まう人同士のつながりが大きな集合体となった結果がまちであり、社会です。人と人とのつながりに関して、災害時のみならず病気や事故、労働環境の変化など思わぬ事が人生には起こり、その様な生活環境の変化の前に人間一人の力は小さいものであると感じます。だからこそ、人間の生活にはお互いに助け合う精神が必要なのです。地縁、血縁がその役割を担っていた社会は大きく変わりました。川崎が大都市となった故に抱える住民同士のつながりの希薄化により、人とまちとの支え合うバランスが崩れてしまわぬように、政治に頼ることなく私達が社会において積極的に人と関わり、主体的に他者に手を差し伸べる姿勢を大切にすることで、市民と地域社会が協和した思いやり溢れたまちづくりを目指します。私達は豊かな川崎を次代につむぐ責任世代として邁進していかなければならないのです。
 
【ふるさととして】
公害のまちから芸術、文化、スポーツのまちへとイメージを変貌させ、首都圏内の交通の利便性に優れた川崎の人口は現在約 145 万人、10 年後には 150 万人に達する勢いです。川崎には南北にわたり特色ある地域と多くの魅力があり、川崎は市民が十分に愛着を持つことができるまちであると考えます。この大都市としての川崎の市民が住み暮らし、郷土愛を育み、市民にとって「ふるさと」と呼ぶことができる心の拠り所となるはずです。今あるまちの魅力を市民が触れること、そして、それぞれの地域の魅力を活かした新しい川崎の魅せ方を市民と川崎青年会議所が共に創造し、発信いたします。市民同士のつながりを生み、安心して暮らすことができるまちづくりを行うことで、明るい豊かなまち川崎の実現を目指します。
 
【感性をもって未来へ】
ソーシャルネットワーキングサービスなど通信手段の発達により、人とのコミュニケーションは取りやすくなりました。しかしその便利さ故に、子ども達の心の人とふれ合うことで育まれる機会を奪い、人の表情や声から気持ちを汲む基本的なコミュニケーション能力や、現実社会での出来事に対応する感性が失われつつあります。青少年という多感な時期に自然や文化、スポーツもあるこの川崎で、子ども達が実体験を通して生きることの喜びや感動、時に痛みを知り、くじけないしなやかな心と感性を身に付けることが大切です。また、多くの人との関わりの中で自分を支えてくれる人に感謝し、自分と人とのつながりを意識することで、相手を思いやる感性の涵養に努めます。
経験から培われたしなやかな感性と相手を思いやる優しさを持った子ども達が、社会へ巣立った時、明るい豊かな社会の実現へ大きく前進することができると確信いたします。

【志を同じうする者として】
人生経験や考えも違う会員がそれぞれの強みを活かし、明るい豊かな社会を実現するために
個々の活動を大きな運動へと変えていく必要があると考えます。そのために、セレモニーを通して青年会議所の理念や目的を共有し、同じ価値観のもとで会員同士のまちへの想いを具現化すると同時に、会員同士が切磋琢磨する場として例会を行います。さらに、入会して間もない会員が大半を占める中、諸会議や運営ルール、事業を基づくる議案などの活動に関わるものの意義や目的を理解する研修を行い、より効果的な運動展開を図り明るい豊かな社会の実現に向かって確実に歩みを進めて参ります。
私達会員は、多くの人との出会いや新たな英知を得て自己の成長につなげられる機会の宝庫
である青年会議所に誇りを持ち、堂々と青年会議所運動を展開し、個と公が協和するまちづくりを目指します。

【可能性を広げる】
川崎青年会議所の会員は川崎の発展のために自己の成長を図り、培った経験を力にし、川崎に還元していく奉仕の精神を持つ青年です。会員拡大とは川崎を想う人を増やすことであり、川崎が発展していく可能性を広げることでもあると考えます。そして、社会の中核を担う 20 歳から 40 歳までの期間の中で、どの様に会員自身が資質の向上を図るのか、学び舎である青年会議所という場に、地域の青年がどうすればより多く集まるのかを川崎の発展のために常に問いかけ、会員拡大の歩みを続けることが必要不可欠です。
川崎青年会議所が地域や時代に即した効果的な事業を行い、市民から真に必要とされる団体
になることで認知度は高まり、会員拡大の可能性はより高まるでしょう。そして、より多くの会員がより良い運動を展開するという好循環が生まれると考えます。妥協のない議論と行動の積み重ねで青年会議所運動を広げ、気概あふれる多くの会員と共に、明るい豊かなまちづくりを行って参ります。

【結びに】
Earth’s great treasure lies in human personality.
この世の至宝とは人の個性そのものです。(JCI クリードより)
個性とは人そのものであり、個性とは他者とのつながりの中でこそ見出され、磨かれ輝くと考えます。そして、個が成長しお互いがつながり影響し合うことが、取り巻く環境や川崎を発展させると確信いたします。市民が互いに連携し、活動の幅を広げる過程において生まれる気づきや発想が明るい豊かなまちづくりの原動力となり、主体性を持った市民がそれぞれの良さである個性を活かし合う社会こそが、個と公が協和する社会であるのです。
私は自分にはない素晴らしい個性を持った様々な人々とこの青年会議所で出会い、自らの未熟さを痛感しながらも経験を積み重ね成長することができたと実感しております。行政や各種 NPO 法人などが積極的にまちづくりに参画するようになった今日においても、この青年会議所は唯一無二の特色を持った団体であります。明るい豊かな社会の実現のために川崎青年会議所の諸先輩は長きに亘り活動され、運動を展開してこられました。社会の公共性と個人の自立性が生き生きと協和する確かな時代を築くために、その歴史と伝統、まちづくりへの高い志を受け継ぎこれからも活動できることに川崎青年会議所の会員として誇りを持ち、会員一丸となって青年会議所運動に全身全霊を懸け邁進することをお誓い申し上げ、所信といたします。

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